宙を切るように手を動かしながら階段を登りきる。 ここはたぶん三階……だと思う。 そうだ!! スマホのライトで照らせば教室までは戻れる。 慌ててブレザーのポケットに手を突っ込んだ。 「……はぁ、」 その時、気だるそうに息を吐く気配がした。 「……っ!」 誰……? まさか、さっきのアレ……? 嘘、でしょ……? ヒタヒタと歩く足音が少しずつ近づいてくる。 みるみるうちに背中が変な汗をかいていく。 身体が萎縮してとても動くことは出来なかった。 ……まさに絶体絶命。