「あ。零士、体育お疲れ様」


「もう腹減ってやばい。倒れそう。いちか、なんか食わせて」

……と。

子供みたいにキラキラした瞳でいっちゃんのお弁当を覗いた。



二人は一年生の時から付き合っている。

告白したのはバスケ部のエースである零士くんから。


私が工藤くん推しなら、零士くんは間違いなくいっちゃん推しだ。



「ちょ、零士!今は日菜と話してるの!自分で食べてよもうっ……」



あーん、と口を開けて甘える零士くんに、さすがのいっちゃんも少し照れている。


二人の様子は羨ましいことこの上ない。

いいなぁ。

私も工藤くんとこんな風になれたら……。



「って。あれ?日菜ちゃんは瑠色と飯食わないの?この前、昼飯誘ってみるって言ってたような気がするんだけど」



工藤くんのことを名前で呼ぶ零士くんは、中学が同じで仲が良いらしく、こちらとしては大変羨ましい……。



「実はまだ誘えてなくて……」



私は痛い質問に肩をすくめた。