橘さんが唇を歪めるとうっとりした声で笑う。
「あ。コレ、証拠ね?裏切った謝罪動画」
ピンクのコートのポッケからスマホを取り出すと、迷わず私に向ける橘さん。
“こうなりくなかったらわかるよね?”
そう物語る橘さんの圧。これは制裁。
「さすが橘さん……!!こ、これくらいしないと、わかんないもんね!?」
みんなが目を見開いて橘さんを見つめていた。
助けて………。
心の中で願っても誰にも届かない。
こんな異様な光景に、ツリーのそばを通るカップルも。
ケーキの箱を持って歩く男の人も、買い物帰りの楽しそうな家族も。
私と目が合っても逸らされる。
まるで何も見てない顔で足早に通り過ぎていく。
普通は、誰だって巻き込まれたくないって思うよね。
……こんな、クリスマスの夜に。
「ほらぁ!早く頭つけなよ!陰キャってこういう時ばかり無駄な抵抗するんだから!」
「往生際が悪いってやつね。気持ち悪っ」
怖くて何も言えない弱虫な自分。
ガタガタと震える足はもう感覚さえも失っている。
凍るような冷たい地面にゆっくり手をついて、諦めかけたその時。
「-----やめとけば?」



