するり、するり。

器用に大鬼の手をかわす少女は、まるで魔法でも使っているようだった。

先程までのおっとりとした雰囲気とは打って変わった素早い身のこなしである。

いよいよ大鬼も本気を出して追いかけるが、しかし少女は捕まらない。

大鬼が入れないような岩場の陰に身を隠したり、河に飛び込んだりして、少女は逃げに逃げた。

時には他の子が積み上げた石の塔を蹴りつけ、大鬼に浴びせるという行いすらも見せた。