響は杏の側に近づいてそう言った


……そこなんだよなー


「妹に高校生活の景色を見せてあげたかったとか?」


慧は、どう?と言ってきたものの、ピンとこない

泉も変わったやつで、2年も高校留年っていう偉業を成し遂げてるけど、杏はまた別だ

卒業してるんだから…



そして気づく

3人で話せば話すほど、頭がこんがらがる

2人もそう思ったのか、勝手に想像するのは、辞めにしよう。そう言った



「朔は…杏に過去のこと話したのか?」

「いや、話してない。なんかそんな事話す空気になった事ねーから」

「そっか…じゃああれだね。話さなくても、杏は朔の痛みに寄り添ってくれたんだね」


響の可愛いスマイルが飛んできた

寄り添うか…
そうだな。

俺は、大丈夫?とかごめんとか…心配して欲しいわけでも、謝って欲しいわけでもない


ただ側で


一緒に悩んでくれて、悲しんでくれて…そんなことをしてくれる人が欲しかっただけだ



「杏は、すげーやつかもな」


自然と笑ってそういえた