愛は惜しみなく与う②


でも新が何を言おうが、もう決めたから。そう言って泉は部屋を出て行ってしまった。その後を新が追う

部屋に取り残された俺たちは、互いに顔を見合わせて、ため息をつくことしかできなかった


「俺…杏にいっぱい話聞いてもらって、心を軽くしてもらったのに…俺は杏のために、何もできない」


「俺だって……今だから言うけど、楼帝の男と桃香ちゃんに拉致られた時、助けてくれたの杏ちゃんだからね?」


おいおい。何ぶっ込んでんだよ!
響も、え??と驚いている

あの時、杏と慧は、一緒に楼帝の倉庫に来たけど、途中で出会ったと言っていた

あれは嘘で、あの時、杏が助けに行ったのか?


「え、なんで杏が助けに来たの?」

「んー。話聞いたから納得できたんだけど。池田っていたでしょ?俺を拉致した奴。池田は出身が西なんだってさ。杏ちゃんをみて怯えてたから…知ってたんだろうね。」


「顔見知りだとして…どうして慧がそいつに捕まってるって分かったんだ?」



「まぁそれは…こんだけ薔薇の情報や、杏ちゃんの個人情報を隠せる人が、杏ちゃんのバックに居るんだよ?目撃情報とか調べて、特定するくらい、簡単なんじゃない?」