後ろからスッと手を伸ばし、泉は杏の頭を抱えた
あの抗争の後、少ししてから、泉に幹部だけ呼ばれて話し合いをした
その内容はもちろん、黒蛇でみつけた杏の写真
それを黒蛇の仕業ではなく、泉はスコーピオンの仕業だと言った
詳しくは分からなかったが、一生懸命震える声を絞り出して杏が話す
「あ、あたしの…あたしのせいで、妹は…殺されたかもしれへん!!」
想像を超えてくる杏の過去に
全員が戸惑った
東堂財閥で、跡取りは妹
姉の杏には無関心だったため、杏は薔薇というチームをつくり自由に過ごす
そして…
妹はなぜか杏のせいで殺され…
そして杏が跡取りになった
そういう事だよな?
こんな小さな身体に、これだけの出来事が耐えられるわけがない
「い、泉。どうしよ。み、みんなが…はぁはぁ…サトルに狙われたら…ど、どうしたら…」
「杏!」
突然の異変に固まる
泉だけがサッと動き近くにあったスーパーの袋を杏の口にあてがう
過呼吸



