それに、何かのチームに入ってたと言っていた杏ちゃんは、まさかの総長で…
それにあの有名な薔薇を作った本人だなんて
凄すぎてもう、ね
笑ってしまいそうだよ
朔の胸ぐらからパッと手を離した
「ごめん。あたしも朔に当たってしもた」
そそくさとベッドに戻る
泉は杏ちゃんの腕を掴んで、点滴が刺さっていた場所を念入りにみている
「針が折れたらどーすんだ!」
「…ごめんってば」
口を尖らせて少ししょげている杏ちゃん
だから俺たちは忘れていてんだ
東堂財閥の娘で、薔薇の元総長で…
そんなすごい杏ちゃんだから忘れていた
この子も普通の女の子だと言うことに
さっきの沢山の人の生活がかかってると言ったとき、俺たちは聞いておくべきだった
なぜ杏ちゃんが継がなければならないのか。
どうして、名前まだ変えさせた母親は、妹の死の後に杏ちゃんを後継にしたのか…
聞いとかなきゃいけなかった
たとえ杏ちゃんに嫌われても、泣かれても…
俺たちはここで、その事を深く聞かなかった事を、のちのち後悔することになる
………



