愛は惜しみなく与う②


それに、何かのチームに入ってたと言っていた杏ちゃんは、まさかの総長で…

それにあの有名な薔薇を作った本人だなんて


凄すぎてもう、ね
笑ってしまいそうだよ


朔の胸ぐらからパッと手を離した


「ごめん。あたしも朔に当たってしもた」


そそくさとベッドに戻る

泉は杏ちゃんの腕を掴んで、点滴が刺さっていた場所を念入りにみている


「針が折れたらどーすんだ!」

「…ごめんってば」


口を尖らせて少ししょげている杏ちゃん




だから俺たちは忘れていてんだ

東堂財閥の娘で、薔薇の元総長で…
そんなすごい杏ちゃんだから忘れていた



この子も普通の女の子だと言うことに



さっきの沢山の人の生活がかかってると言ったとき、俺たちは聞いておくべきだった


なぜ杏ちゃんが継がなければならないのか。


どうして、名前まだ変えさせた母親は、妹の死の後に杏ちゃんを後継にしたのか…



聞いとかなきゃいけなかった

たとえ杏ちゃんに嫌われても、泣かれても…




俺たちはここで、その事を深く聞かなかった事を、のちのち後悔することになる



………