愛は惜しみなく与う②

少し心配になって杏ちゃんを見ると、やっぱ杏ちゃんは杏ちゃんだった


「わかってるわ!!!」


下を向いていた杏ちゃんは、腕の点滴を引きちぎりベットから飛び降りた

泉が額に手をおいて溜息をついていた


朔がきつく言ったから、落ち込んでるのかと思ったけど…そんな感じではなかった


「そんな奴らのために、あたしだって自分の人生捧げたくないわ!わかってるわ!わかってるけど…」


朔は杏ちゃんに胸ぐらを掴まれてポカンと口を開けている




そして切ない声で呟いた




「何千人の何万の…多くの人の…生活がかかってんにゃ…」




俺たちには分からない世界
もしかしたら泉と境遇が似てるから、泉なら少し理解できるかもしれない

だから先に泉に話していたのかもしれないな



東堂財閥ねぇ…


あまりにも大きな組織で、すごいことは分かるんだけど、身近なものではなかったから、今まで気にしたこともなかった。


初めて、杏ちゃんが関わってると聞いて、その存在が大きく感じ取れた


関西最大級の財閥



さらりと聞き流してみたが、考えれば考えるほど、驚きが止まらない