愛は惜しみなく与う②

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「お前の怒りを杏にぶつけても意味ないだろ。黙って聞いてろって言っただろ」

泉が朔を静かに怒鳴る
朔は…

朔は小学生の時に両親に捨てられた

未だにこういう類の話をすると、朔が不安定になる時がある


きっと、母親から杏ちゃんが受けた扱いを、想像すると、朔自身しんどかったのだろう

同じように、嫌な気持ちになったんだろうな



それでも家のために後継になろうとする杏ちゃんのことが、理解できないんだよな


わかるよ

俺だって、父親があんなんだったから…今更父親のために何かするなんて考えられない。

でもこのチームには



俺らの総長も、そーいう奴だ


泉も、家をどうにかしようと奮闘してる
杏ちゃんはどうなんだろうか。泉のように奮闘してるのか…それとも…



諦めてしまったんだろうか



「は!お前がどこぞの御令嬢か知ったこっちゃねーよ。でもなぁ!!!「朔、つまみ出すぞ」



泉が怒っちゃった


部屋を出て行くかと思ったけど、少し押し黙った後に椅子に座りなおした