愛は惜しみなく与う②


「なんだよそれ!最低じゃねーか」

「あたしも思った。こいつ、くそやなって思ってた。でも……どんだけ憎くても、自分の母親なんやなって思ってた」


響も少し下を向く
響もわかってたもんな。響もどんだけ親が嫌いになっても、離れても…親はその人しか居ないから


「胸糞悪い話だなぁ!最後まで聞ける気がしねーよ!なんでお前も素直に名前変えてんだよ」


突然ガタンと大きな音を立てて朔は立ち上がる

おい、朔!と止める慧の腕を振りほどいて、あたしの服を引っ掴む



「おめーは!それでよかったのかよ!よくないよな!だって今、悲しい顔してるもんな!」

「やめろ、朔」

「はなせ!」


朔?あたしはあまりの剣幕に言葉が出てこなかった


「親に…そんなこと言われて…お前はそうやって…で??妹が死んだから、お前が後継だってか??そんな都合のいい話ねーだろ!何受け入れてんだよ!!!」


図星すぎた


ただ泉が朔をあたしから引き剥がし、その反動で朔は床に尻餅をつく

でもその目はとても…怒っている目だった