「あたしの妹が死んだ話したよな?泉には話たけど、東堂財閥の跡取りは妹の鈴の予定やってん」
「普通…長女長男ですよね」
「そう。せやねんけど…」
病室の布団を掴む
やっぱり分かっていることでも自分の口から言うのは、まだ心が苦しくなる
杏…そう言って泉はあたしの布団に腰をかけて、そっと頭に手を置いた
「わざわざ自分で傷つきに行くことはない。俺が聞いたことでいいなら、こいつらに話す。杏から言わなくても…」
甘えたら…あかんよな
自分のことやもんな
新も、深く考えず聞いてすみませんと、言う
ちゃうねん
こうやって気を使わせへんために、あたしは話したいだけやねん
「あたしの母親、妹のことしか愛してないねん。あたしは…あたしの事は見向きもせんかった。目さえ合わさへん。あの人は、娘は鈴だけやと思ってる」
そう
あたしの事を見るのは、いつも蔑んだような目で見るだけだった
「東堂財閥の恥にならんように、名前を変えろって言ったのも、母上や」
そうやった
久しぶりにあたしに話しかけたと思ったら…名前変えろ言われたんやっけな



