痩せ細って…身体も汚くて…
どうして逃げなかった
組は解散に追い込まれているっていうのに、その手を止めない少年に、怒りと悲しみが襲ってきた
「おい、手を止めてこっちを向け」
そんな言葉も無視をする
「才能の無駄遣いだな」
バカだよ。こんな事に手を貸すなんて。自分の身を削って尽くす価値は、この組にはなかった
「やりたくてやってるのか?」
んなわけねーよな
やりたくない事だったから、お前は、自分の意思さえ示さなくなってしまったんだよな?
「俺の仕事を手伝うか?」
俺は何を聞いてるんだろうか
同じようなことさせて何になる
俺の実家だって、こいつを監禁していた組と、似たようなもんだ
その問いにも答えない少年
「俺はこの組を潰す男だ」
捕らわれている少年を解放してやりたかった
こんな場所ぶち壊してやりたいと何故だか思った
そんな俺の言葉で、無反応だった少年は手を止めた
指先は震えている
そしてパッと顔を上げた