先ほどの怖い声ではなく、優しい声がした


「金城が…こうなった理由は、なんとなくわかる。でも、杏に手ぇだした時点で、こいつは終わりだ。容赦はしない」


でも

そう続けた


「杏が無事ならそれでいいんだ。だから、杏を返してくれ」


さっきまで、手足が震えるほどの威圧感を出していた男は、「頼む」そう悲しそうな顔をして言った

なんだか驚いた

数年前、俺もこの人達に会ってる


会話した事はなかったけど、烈火の総長の泉は、どこか冷たく、トップにいるが一匹狼のような孤独さも感じ取れた


それが…


ひとりの女の子のために、ここまで出来るなんて



あの女は彼女じゃないと言ったけど、それ以上の存在なのではないかと思わせた


俺は、俺が正しいと思った事をしよう





「今から俺の電話番号をいいます」




紅蓮の誰かが見つける前に…

そしてこの人達に…


この人達の元へ、あの子を返してあげなければいけない



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