そうだ。借りてくといい、俺の携帯を持っていった。
飛び降りた時に無くしてなければ、手元にあるはず

「…お前名前は?」

「ゆ、悠馬」

「……なんでそんな情報を渡す?」


そりゃそうだ。一応俺、金城さんの味方だ。ただこんな事をする金城さんをとめたいだけで…

いや、とにかく!!


「信じてください。早く見つけてあげないと、紅蓮の奴らが先に見つけてしまう。あの子…怪我してると思うから」


かっこいいと思ったんだ


女の子を


真っ直ぐで、強いあの子を



金城さんはさっき紅蓮の誰かに電話をしていたから…きっとあの子が逃げたことはみんな知ってる


大勢が探し出している


巻き込むべきではなかったのに


「俺が…金城さんを止めなきゃいけなかったのに…」


涙が出てくる
もっと強く言えばよかった
もっと金城さんの話を聞いてあげればよかった


虚ろな目でボーッとする金城さんを見て、さらに目が熱くなる


どうしてこんなになるまで行動できなかったのか


どうして…



「泣くな。杏を探すの手伝ってくれ」