俯く杏の前に膝を折って、泉は杏を下から覗き込むように、顔を大きな手で包む
「俺をみろ。大丈夫だから」
周りはその光景を見て、きゃーと騒ぐ
そりゃそうだ。1人携帯を構えた女性がいたので、それは遮らせてもらう
「泉…大丈夫。ちょっとびっくりしただけ」
「ちょっとじゃねーだろ。歩けるか?」
「うん…」
泉は杏と手を繋ぎ歩いていくが、周りは割と騒ぎ立てている。
へんに写真を撮られても困りますし、どうしましょう。そうアタフタしていると、泉が立ち止まり、周囲をぐるりと見渡す
そして一言
「散れ」
集まった制服を着た女子高生や、野次馬は、サッと避けて行った。
さすが
「新、バイクはどこにある?」
「あっちの駐車場です」
「なら同じ場所だ。いくぞ」
本当になんでしょうね、この安心感は。泉がくることによって杏も少し落ち着いてそして、私もとてと安心しています
よかった、すぐそこに来てくれていて。
きっと心配だったのか、海斗さんを送ってそのまま来てくれたんでしょう