少しの沈黙の後に、パッと泉は手を離した

ゴホゴホとむせる金城さんのそばへ駆け寄る
顔をしかめて酸素を一生懸命吸う金城さん。

そして次に、泉の問いかけは俺に来た



「お前も見てたか?」

コクコクと首を振る

割れた窓ガラスをじーっと見つめて、口を開いた



「…朔、響。ここ任せていいか?新と慧は、俺と一緒に杏を探してくれ」


「あぁ。ぜってぇ紅蓮より先に見つけろよ」


「逃げたり変な動きしたら…お前の判断で、やっていいから」



泉は幹部の朔にそう告げて部屋を出ようとする



俺は自分のすべきことが分からなくなっていた。金城さんを助けたい。でも金城さんは、この人達を怒らせてしまった


でも


あの子は…無事でいてほしい


あんな無茶をさせて、痛い思いをさせてから言うのもなんだけど…



「あ、あの!」


情けないが声が震える。だって金城さんより怖いから

無言でちらりとこちらを見る
さっさとしろよ。そう言いたげな目



「杏って子…俺の携帯持ってる。から…電話したら出るかも」