「杏は…ずっと俺たちのこと、真っ直ぐに考えてくれたんだ」

「それでも、こんな素性もわかない…」


杏がパッと手をあげてゴトウの前に立つ
怪訝な目でゴトウは杏を睨んだ


「なんです?今は泉坊ちゃんと話してるんです。間に入ってこないでもらっていいですか?」


こんなに感情を剥き出しにしているゴトウは初めてかも知れない。



「あたしは、ほんまに、ぱぱちんと泉がこれからも親子としてお互いの成長を見届けれることを願ってる」


ぱぱちんって呼び方は、もう杏の中で固定されてしまっているようだ


「私だって!お二人が仲良くお話をしてくださるのが、とても幸せで…本当に嬉しくて…ずっとずっとお二人が手を取り合うのを待っていたんです!ポッと出のあなたにに何がわかるんですか?2人の…。ようやく歩み寄れたのに、手術はほぼ成功しないと言われて……絶望的な状態で…私は、、、私は2人が少しでも長く一緒にいられる方法を…と…」


ゴトウが眼鏡を掛け直し、深呼吸した

俺たちを一番心配してくれていたのは



ゴトウだ




「だからやで?」