え??
親父と2人で静かだった病室に


場違いとも言えるくらいのテンションで杏が部屋に飛び込んできた

親父が口を開けたままそちらを見ている



「何事も素直が一番!!!」



ズンズンと俺たちの元へ近づいてきて、杏は笑顔で俺と親父の手を取った



「あんたらの" これから "をあたしにも守らせて」



こうやって杏は突然、突拍子もないことを言う。どうしてこんなに寄り添ってくれるんだろうか



どうしてこんなに強いんだろうか





「もう話つけたし。明日移動な!荷物まとめときや!」


「??ちょ、杏?どういうことだ?」

「病院移動せな、手術うけれへんやろ!この病院、ここまで進行した胃癌の手術、やれる人おらんで?病気と闘うのって、1日1日が大事やねん。ほんまなら今日移動するのがいいけど、さすがに部屋空けてもらうのに、1日はくれって言われたから」


親父をみると、顔の周りにハテナが飛んでいる。そりゃそうだ。俺もそうなってる

この状況についていけてないのは、俺だけじゃないよな