愛は惜しみなく与う②


「杏に俺は毎日勇気をもらっている。今こうやって親父と話せてるのも、杏のおかげなんだ。だから……」



死なないでくれ、親父


杏がやり直せばいいって言ってくれたんだ。諦めるなって、言ってくれたんだ




「俺は親父に、この先も、見てて欲しい」



生きて、側で。

親父はフイっと窓の方に顔を向けて座ってしまった。


でもいいんだ。俺の気持ちは言えたから

あと半年

手術をしても、ほとんど成功しない手術


何が正解かは分からない

でも




「諦めんなよ、親父」




陰で見守ってるなんて、もうやめて、堂々と俺を見てろよ
これから先も…



「ほんとお前は、昔から生意気なガキだな」



え?


鼻にかかった親父の声
泣いてるのか?



「本当は怖くてな。自分が酷い父親だと気づいたのは、病気になってからだ。それまでは全く悪いと思ってなかった」


鼻で親父は笑う
病気になったのと、俺が家を出たのは同じくらい…

それまで気づかなかったことに俺はひくけどな