愛は惜しみなく与う②

そりゃトラブルも多い。
うちにはトラブルメーカーが多いからな。

でも


「今、胸張って大事だって言える場所がある。俺は親父にそれを知って欲しい」


俺の大事な場所を、人たちを…
親父にも認めて欲しい

あんなに詰まって言えなかった言葉も、杏のおかげだろうな。スラスラと言える

俺が悲しんだら、杏が親父に喝を入れてくれると言ったからだ。


「……俺は、烈火というチームの総長をお前がやって、喧嘩負けなしってのは知ってる。だがこの前家に来た奴ら…あの子達のことは詳しく知らない。少し聞かせてくれないか?」


眉を下げて少し恥ずかしそうに親父が言う

こうやってずっと


自分の話をしたかった。聞いて欲しかった。共感して欲しい訳じゃなく、ただ…

知って欲しかった



………

……



「じゃあお前がヘマしてくたばってた所を、あの子が助けてくれたのか?」


「ヘマしてねーし、くたばってもねーよ」


「血だらけで女に助けられるなんて、恥さらしだな、お前」


うるせーよ