愛は惜しみなく与う②


パッと親父から手を離して杏は再び俯いた


「生きてたら…親子喧嘩もできる。謝ることもできる。叱ることもできる。もっと歩み寄ることもできる。でも…生きることをあんたが諦めたら、何もできひん!
泉だって、何もできひん。後悔しか残らへん」



俺に背を向けて杏は病室から出ようとする
金の髪を揺らしながら…



「少し2人で話せば?でも泉はあたしの大切な仲間や。父親やからって関係ないし」


振り返った杏は、赤い目を潤ませて訴えた




「泉のこと泣かしたら、しばき倒すしな!!」




人指し指を親父に向けてピシッと言い放ち、物凄い力で病室のドアを閉めてでて行った



俺は杏に助けられてばかりだな




「すげーだろ?あの子」


俺は杏のおかげで、自然と笑えるんだ。親父の前でも



「病人だぞ、俺は。急に胸ぐらを掴む奴があるか」

そう吐き捨てた親父も、顔は笑っていた


今なら素直になれる気がする



「泉、お前は毎日楽しいか?」

「あぁ。周りの奴らのお陰で、俺は毎日すごく充実してるよ」