「俺は!!!俺は…あんたが…親父が嫌いだ」
俺を殴るあの拳も
俺を見下すあの目も
大嫌いだった
「見返してやるって。親父よりもっといい仲間に出会って、俺は自分の足で立って……」
自分の足で立って?それでどうしたい?
そうか
やっとわかった
「……見てて欲しかったんだ。俺が一人で歩いていく姿を。俺はただ…」
この先は言葉がつまり言えなかった。
そう俺は
ただ親父に
「認めて欲しかったんやんな」
え?
隣で黙り込んでいた杏が話し出す
「子供ってな、親のこと嫌いでもな、心のどこかで親を頼ってるねん。どんなに離れてて、嫌いで、憎んでても……心の底から嫌いになんてなれへんねん。どうにか自分の存在を…どんな嫌な形でも認めて欲しいねん」
あ、ん?
杏は一歩親父に近づいて、距離を詰める
「君は…人の痛みがわかる子なんだな。泉の側に君みたいな子が居てくれて良かった」
親父がふわりと笑った
その笑った顔は、とても懐かしくて
涙がでた



