「とりあえず一本吸えよ」
響の口にタバコを押しつけて火をつける
ふぅーー
「杏に女友達ができるのが嫌か?」
「ち、ちがう。そんなんじゃなくて……でもなんていうか、一緒に居るのが当たり前になってて…家に女とかも呼びたいだろうけど、俺がいたら邪魔だし」
「杏がお前を邪魔だなんて言うかよ」
「わかってるよ!でも…みんな長谷川と普通に話してるのに、俺だけ話せない。怖いんだよまだ。状況の変化に、俺だけついていけない」
ほんと、繊細な奴だな
こうやって悩んでしまう響は、とても優しくて、人の気持ちが分かる、いい奴なんだと俺は思う
「杏の友達なのに、俺ひどい態度とっちゃう」
「しゃーないんじゃねーの?」
「でも、失礼だし、杏はあの女と話すの楽しそうだ。さっきも杏と話してる時に、あの女が来たから俺…逃げるように朔のところに来た」
膝を抱えて小さくなる響を、俺は抱きしめてやりたい気持ちになる。
ウザがられるからやらねーけど
大丈夫だと…
そう伝えようとした時に、バタンと屋上の扉が開く