愛は惜しみなく与う②



紗羅ちゃんを片手に抱いて、落ち着かせる。こんな華奢な女の子。まだ17やで?

こんな子に…



「暴力の怖さなんて、知らんでええ。殴られる痛みなんて、一生知らんでええねん!」

それを…その恐怖を…

こいつは紗羅ちゃんに…
ぎゅっと拳を握る


泉があたしと男の間に立ち言った



「俺はこの女もお前も知らないけど、杏が悲しむなら…杏が怒るなら…杏が拳を痛める必要はない。俺がお前にトラウマ植えつけてもいいんだぞ?」


その声は落ち着いているが、とても冷たかった


紗羅ちゃんもすこし肩をビクッとさせた


「わ、わかった。紗羅、ごめん、、ほんと今まで…許してくれ」


男は涙を流しながらそう言う
紗羅ちゃんはあたしの肩から顔を上げて男を見た


「許すのは…無理。だけどもう、あたしに関わらないで」


その言葉に男は頷いて、もう一度謝った


ここまで脅せばもう大丈夫かな

そう思った
けど

泉が、さっさと帰れと、男の背中を後ろから蹴飛ばしていた。

ヒェェという情けない声とともに、男は去っていった