愛は惜しみなく与う②


「若もやっかいだからなぁ…若の弱みのために、お前はひとまず生かしておくよ」


男はそう笑いあたしから拳銃を下ろした

ふぅ

ただ部が悪過ぎるのはあたしや。
ひとまず逃れたけど、こいつはやっぱり横たわる男の人に拳銃を向けてる訳で…



「ゴホゴホ!…合田…子供の前で見せるな」



絞り出すように声を出した男の人。子供の前でって、あたしのこと?

かちゃりと安全装置を外す嫌な音がする


え、待ってよ

どうすべき?

この人ほんま撃たれるん?


ベッドの男の人は、自分の最後を悟ったのか、逃げるそぶりもなく、ただツンツン男を見ていた



「あんた…ここまで酷くなってたんだな」

「好きにさせてやるから…そのガキを外に放り出せ」


男の人はあたしの方を見向きもせずそう言う。いや、そりゃまぁ人が撃たれるところなんて見たくもないけど


手が届くところに居るのにさ、助けれへんってもっとしんどくない?



あたしはあまりにも集中すると、すべての音が良く聞こえるようになる



志木が言うには、過度の緊張と集中は、あたしの五感を研ぎすませるらしい