ちっとも動かない彼。


じわり、と涙が目に滲んで……。
私はすぐに手で涙を拭う。



それから私は顔を上げて。


「……あの、一条組と月城組のこと、聞いてもいい?」


蒼真と吉の2人を見た。



『昔はうちと一条組は仲が良かったらしいが……ある日、一条組はうちを裏切ったんだよ。そのせいでお袋は精神的に追い込まれて自殺したんだ』

あんなことがあった日、月城岳が言っていたこと。


私はずっと気になっていた。


一条組が裏切った、とはいったいどういうことなのか。
月城岳があの時言っていたのは、きっと……嘘なんかじゃない。


あんなに感情的になっていたから、きっと本当のこと。


だから一条組と月城組の、深い因縁のことをちゃんと知りたかった。