しばらく歩いて、やっと自分の部屋に着いた。



本当に広すぎるんだよ、この家。



横にも縦にも長いこの家は、移動するだけで疲れてしまう。



たまに外の家を見て、あれくらいの二階建ての普通の家に住んでみたいと羨ましく思う。



贅沢な悩みだなんて言われるかもしれないけど、普通の生活をしているその人たちが私にとっては羨ましい。



「はぁ……って、なんでいるの!?」



これだけは最高…というふかふかのベッドに腰かけると、いつの間にか私の部屋へと入ってきていた執事に驚きの声を上げる。



音も立てずにそこにいるなんて、お化けか何かかと思うじゃん。



そういう部類の物は本当に苦手で、心臓が止まるかと思った。



「お嬢様と一緒に入りましたけど……?」



「うそ……」



全然気がつかなかった私って、もしかしてヤバい?



いや、この有嶋って奴がヤバい奴なのかもしれない。



うん、絶対そう。