「それでは、失礼致します」



まだ仕事が残っているからと部屋を出された私たち。



何もすることが無くなった私は、自分の部屋へと戻る。



本当ならこの家から出ることができていたかもしれないのに。



無駄に広くて長い廊下を見て、そう思った。



「有嶋…だっけ?いつまで私についてくるの?」



部屋に戻るだけだというのに、お父さんの部屋を出てからずっとピッタリ私の後ろをついてくる。



「菓乃お嬢様の専属執事だからです」



「ねぇ、寒気がするからお嬢様って呼ばないで。しかもアナタが専属執事だってまだ認めたわけじゃないから」



「左様でございますか。まぁ、そのうち認めてもらいますのでご心配なく」



なんだ、この執事。



やけに上から目線というか、俺様というか……



本当に嫌な予感しかしないんだけど。