左右でサンドイッチされてしまった私は、顔が火照って赤くなっているのが自分でもわかる。
「な、何すんのよ!」
居てもたってもいられなくなって、そう声を荒らげる。
「今の俺たちは、お嬢様と執事の関係じゃない。
ただの高校生だ。菓乃の命令は聞かねーよ」
"それに、お仕置きだって言っただろ?"と得意げに返された。
確かにそういう約束だけど、そうじゃない。
お仕置きをしていいなんて言った覚えはこれっぽっちもない。
「それではお嬢様、ティータイムは終わりでございます。夕飯ができたらお迎えにあがりますので、ごゆっくりお過ごしください」
ティータイムの終わりを告げた途端、いつもの執事に戻る有嶋。
「明日のティータイムをお楽しみに」
そう一言だけ置いて、ドアが閉まった。
明日は楽しみだ。
でも、お仕置きなんて自由時間を短縮するとか、行動を制限するとか……
私のワガママ行為を辞めさせるやり方なんていくらでもあるのに、なんで有嶋はキスをしてくるの?
一体、有嶋は何をしたいの?
問いかけても何も返ってこない。
残るのはそんな疑問とモヤモヤだけ。
そっと頬に手を当てると、まだそこは、熱を持っていた。



