一途な執事と甘いティータイム




───自由。



なんていい響きなんだろう。



自由を手に入れたらやってみたいことなんて山ほどある。



「放課後にカラオケとかしてみたい……」



"ねー、これからカラオケ行こ?"



"いいね、行こいこ!"



中学生の時、車の中にいると外から聞こえてきた。



制服を着た女の子たちのグループがしていた会話。



その日は平日で、おそらく学校帰りのその仲良しグループは放課後にカラオケに行って遊ぶらしい。



私は学校から家まで車で送迎で、放課後友達と遊びに行くなんてしたことがなくて、それが羨ましかった。



私もしてみたいって、ずっと思ってた。



「よし、じゃあ明日はカラオケ行くか」



「えっ……いいの?」



「行きたいんだろ?」



「……うん」



本当にOKしてくれるとは思っていなかった。



だって、放課後にカラオケに行くということは、家に嘘をつかなければいけないことだから。