一途な執事と甘いティータイム




──ほんの一瞬、時が止まった気がした。



「どうした?」



「え、いやなんでも……」



……なくなんかない!



何?今の。



いつも"菓乃お嬢様"って呼ばれてるじゃん。



同じ名前じゃん。



"お嬢様"が後ろにつくかつかないかの違いだけ。



それなのに、なんでこんなにドキドキしてしまうんだろう。



「食べないの?」



心の中であたふたふためいていると、そこにはもうポリポリとポテトチップスを食べる有嶋の姿があった。



「あっ!有嶋ずるい!私も食べる!」



「はい、ストップ」



「んんっ!!」



ガッと大きな手で口を塞がれ、息ができない。



早く離せと腕を引っ張ってみるも、男の子の力には全く勝てず、ビクともしない。