「あ、有嶋っ!!」



「なんでしょう」



「またキ、キ、キスなんて許されないんだからね!執事とお嬢様は恋愛禁止なんだから!!」



なんとも幼稚な脅し作戦。



有嶋の動きが止まった。



これは効いたのか……?



「へぇ、お嬢様でいたくないと言うのに、こういう時だけお嬢様ぶってくるんですね」



勝利を確信していた私は、有嶋の反撃に見事撃沈。



図星なことを指摘されて、私は返す言葉がない。



「よし、ではこうしましょう」



「……?」



有嶋がどうやら何かを思いついた様子。



ただ、この表情……どこかで見たことがある。



そうだ、お父さんだ。



お父さんがいつもよからぬ事を思いついた時の。



それが重なり合ってしまい、嫌な予感しかしない。