お父さんの提案には良し悪しがある。
そのせいもあり、次は何を言われるのかとドキドキする。
「神山さん、今日付けで菓乃の専属執事を辞めてもらう」
「わかりました、旦那様」
「えっ、そんな……」
はっきりとそう告げられると寂しさが込み上げる。
嫌なこともあれば、楽しかったことだってたくさんある。
特に神山さんとの思い出はたくさんだ。
「すみません、お嬢様。長い間お世話になりました」
「こちらこそ、たくさん迷惑かけてごめんなさい……今までその、ありがとうございました」
専属執事がいなくなるということは、私に自由ができるということ。
あわよくば脱走も上手くいくかもしれない。
それでも、なんだかしんみりとしてしまう。
なんだか複雑な気持ちだ。



