「ふーん、届かなくて脱げないってわけね」



有嶋は私の姿を見て、全てを察したようだった。



コトンと音をたててテーブルの上に置かれたマーブル模様のクッキーと湯気をあげるミルクティー。



ふわりと甘い香りが部屋中に漂う。



「……な、なに」



そんな匂いと一緒に近づいてくる有嶋。



胸がドキドキとうるさい。



いつもの有嶋とは違う。



執事服じゃない、私服姿の有嶋。



執事は平気なのに、途端に普通の男の子となると免疫がない私は何故か身構えてしまう。



何、なんなの、このドキドキは。



なんで有嶋は無言で近づいてくるの?



「本当、ムカつく」



それは私に対してなのか、それとも休みの日に駆り出されてしまった出来事に対してなのか。



「悪い子にはお仕置きが必要ですね」



「……っ!?」



不敵に笑う有嶋にポンと押されて、ベッドの上へと放り出された私。



二人分の体重が乗って、ギィッと軋むベッド。



すらっと伸びる綺麗な指が私の顎に添えられて、クイッと上げられる。