一途な執事と甘いティータイム



私が中学校に進学した4月。



突然お父さんに私には婚約者がいるのだと伝えられた。



"お嬢様"というこの立場が嫌になった最初の出来事がこれだった。



本を読むことが好きだった私は、恋愛小説や少女漫画を読んで、好きな人と結婚するのが幼いながらも夢だった。



それなのに12歳の春、その夢は簡単に壊されてしまった。



その政略結婚が今の桜宮グループと大河グループを繋ぐ契約だったと知ったのはつい最近の出来事。



私の脱走癖が酷くなったのも、その話を耳にしてからだった。



「さぁさぁ桜宮さん、こちらへ」



大人は大人の話というものがあるんだろう。



私のお父さんと大河グループの社長は奥の部屋へと消えていった。



この豪華でだだっ広い部屋に残されたのは私と大河大夢だけ。



これは面倒くさいことになりそう。



早くこの場から逃げないと。



私の本能がそう危険信号を発している。



「ドレス似合ってるね」



ほら、きた。