「菓乃ちゃん、明日一緒に花火見ようよ」



「え、花火?」




そういえば、学校祭の最終日である明日、後夜祭で花火が上がるって言っていた。



噂によるとその花火を好きな人と見れば恋が叶うとかいうジンクスがあるらしい。



やっぱり私の嫌な予感は当たりだ。




「好きな人と見たら恋叶うらしいし?」



「それ、普通誘う時に言わないでしょ」



「菓乃ちゃんは俺の婚約者だからいいじゃん?」



「私は認めてないし」



「俺、悲しくて泣きそう」



「どうぞ、ご勝手に」



「酷すぎるよ、菓乃ちゃん……」




そんな泣き真似は通用しない。




「ねぇ、そろそろ切るよ」



「あー!待って!!」




もう、本当にしつこい。



そろそろ夕飯の時間だし、有嶋が呼びに来る。