「おふたりはご注文お決まりですか?」
「あぁ、えっと……」
有嶋が話を逸らしてくれたおかげで、美菜子の視線が私から外れる。
「私はレモネードでお願いします」
美菜子が頼んだのはメニューにおすすめナンバーワンと強調されていたレモネード。
まだ気温が高い今日はとてもスッキリしそうな飲み物だ。
「じゃあ、私も美菜子と同じやつで」
おすすめに弱い私は美菜子と同じレモネードに決めた。
「かしこまりました」
有嶋は丁寧にお辞儀をしてテーブルを離れていく。
「有嶋先輩、すごくいい人そうじゃん!」
「うーん、そうかなぁ」
最初は私の自由を邪魔する存在という認識で、早く辞めてくれないかとまで思っていた。
でも、私がいなくなったと言うだけで、寝ずに夜通し探し続けてくれていた。
有嶋という存在は私の中で確かに変わったと思う。
それは告白されて意識してしまっているからなのか、あの日のお兄ちゃんだと知ってしまったからなのかわからないけれど。



