「えーっ!菓乃ちゃんめっちゃ可愛い!」
「……大河」
せっかく美菜子と楽しく話してたのに、大河が現れたせいで私のテンションはぐっと下がった。
私、まだあのこと許してないんだからね。
それなのになんでこんな馴れ馴れしく話しかけてくるわけ?
空気読めないの?
「ねぇねぇ、無視しないでよ菓乃ちゃん」
あー、菓乃ちゃん菓乃ちゃんうるさい。
早くどっか行ってくれないかとイライラしてくる。
そんな私の気持ちが伝わったのか、美菜子は苦笑いしてその場を見守っていた。
「そうだ!今日一緒にお店回ろうよら美菜子ちゃんも一緒に!」
「……え?」
話が振られるとは思っていなかった美菜子は自分の名前が出てきたことに驚いていた。
「ダメに決まってるでしょ。それに私たちのシフトは前半。大河は後半なんだから、そもそも一緒にまわれるわけないし」
学校祭委員のシフトは前半後半でそれぞれ分かれるよう指示を受けている。
だから必然的に私と大河は別のシフトになる。
何かと面倒くさい学校祭委員だけど、こればかりは学校祭委員になれたことに感謝した。



