階段を一段一段登っていく。
白い床が汚れてくすんでいて、飾りっけが全く無い。
今までは赤い絨毯なんかが敷かれていて、落ち着かなかった。
いいね、この雰囲気。
私は好きだよ。
A組の教室は、階段を登ってすぐの一番手前だった。
教室のドアは全開になっていて、中からは騒がしい声が聞こえる。
もう友達作りが始まっているのかな?
そんな雰囲気を感じ取って、上手く自分は溶け込めるのかと、不安が押し寄せた。
「お、おはよう……」
私の声は、誰にも届かず空気となって消えた。
教室に男の子がいる。
それすらも私にとっては珍しい。
お嬢様学校は名前の通り女子しかいなかったから。



