「……っ」
やっと気がついた。
まだ制服のままの有嶋。
ズボンの裾に跳ねた泥の跡。
まだ湿っていそうな制服。
目の下にできたクマ。
確か昨日の夜中から朝方にかけて雨が降っていた。
もしかして有嶋……一睡もせず学校が終わってから今までずっと私のことを探してくれてた?
「……っ!?」
「無事で良かった。ずっと生きた心地がしなかった」
有嶋の大きな胸に収まる私の顔。
しっかりと有嶋の腕に抱きしめられる私の体。
「ちょ、有嶋っ!」
やっと頭の処理が追いついて、抵抗してみるけれど、全く離してくれる気配はない。



