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「……ただいま」
次の日の朝、助けてくれた美菜子と良くしてくれた美菜子の両親にお礼を言い、嫌いだった家に帰ってきた。
昨日美菜子と話して、美菜子のあの笑顔を見て、今自分がここにいることを少し誇らしく思える。
「か、菓乃お嬢様!!菓乃お嬢様がお戻りになられました!」
ちょっとした家出なのに大袈裟だというくらい騒がしい家の中。
私の姿を見るなり使用人たちは、あっちへ連絡こっちへ連絡とさらに慌ただしい様子。
「お怪我などございませんか?」
「あぁ、うん。全然大丈夫」
「ご無事で何よりです。私たちはお嬢様に何かあったらと心配で心配で……」
表情や声からも心配してくれてたことが伝わってきて、とても申し訳ない気持ちになった。
「本当にごめんなさい。心配してくれてありがとう」
「……っ!?い、いえ!とんでもございません!!」
お礼を言う私に目を丸くして驚く使用人。
そんなに驚かなくても……とは思うけど、普段謝ったり、お礼を言ったりすることもなければ、話すらもろくにせず冷たく対応してきたから無理もないかもしれない。
「じゃあ、着替えたいから部屋に戻るね」
「どうぞ、ごゆっくりお休みくださいませ」



