一途な執事と甘いティータイム




それが嫌で嫌で、私は早くお嬢様というか立ち位置から逃げたかった。



桜宮グループから抜け出したかった。



せっかく唯一手に入れた一般庶民が通う高校で私も同じように過ごす、そんな自由な時間。



私をお嬢様としてじゃなくて、普通の女の子として関わってくれる友達が欲しかった。



だからずっと隠してた。



もしかしたら美菜子もって、どこかで不安になっていた。



「そっか、そうだったんだね」



もうすぐ時計は0時を回る。



長い私の話を遮らずに最後まで聞いてくれた。



「菓乃はSakuraが好き?」



「え?」



「自分がSakuraを経営する桜宮グループのお嬢様だからとかじゃなくて純粋に」



それは……



「好き、かな」



最初はもらった試作品を使っていたけれど、今では気に入ったものは自分で買ってしまうこともあるくらい。