一途な執事と甘いティータイム

少し歩くと一度だけ見たあの校舎が見えてくる。



門の前には『祝 入学式』という看板が立て掛けられていた。



そこでは記念にと写真を撮影している人もいる。



「お嬢様もお撮りしましょうか?」



「ううん、恥ずかしいからいい。それよりお嬢様呼びは禁止。これからは外に出たら名前で呼んで」



「え……さすがにそれは」



「私がいいって言ってるんだからいいの!これは命令よ」



ご主人様に従うのは執事。



あまりそういう権力を使いたくはないけれど、これは自己防衛のため仕方がない。



「はい、わかりました」



これで一つ危険は減った。



あとは顔バレと口を滑らせたりしなければ……きっと平和で楽しい高校生活が待っているはず。



期待を胸に校門をくぐり、その敷地へと足を踏み入れた。