「お邪魔します」
私はずっと美菜子に嘘をついて騙してきた。
そんな酷いことをしてしまったのに、道端で立ち尽くしていた私を助けてくれた。
私の中の美菜子への罪悪感がさらに強くなった。
「あなたがお友達の菓乃ちゃんね。狭い家だけどゆっくりしていってね」
「夜遅くにすみません、ありがとうございます」
あらかじめ話しておいてくれたのか、美菜子の両親は快く出迎えてくれた。
私の家とは違って、ピリッとした空気がなくてとても温かい。
美菜子はこんな家庭で育ったんだ。
だからこんなにも優しくていい子なんだ。
「部屋2階なんだ。ついてきて?」
玄関先で美菜子のお母さんにぺこりと頭を下げて、先に階段を上がる美菜子の後ろをついていく。



