最寄り駅から少し混雑した電車に乗り込んだ。
揺れがとても心地よい。
今から行ったら、ちょうど綺麗な夕日が見られるかもしれない。
「……げっ」
窓の外を長めてたそがれていると、うるさく鳴ったスマホのバイブ音。
電話の主は有嶋だ。
きっと掃除が終わったのだろう。
それで私がいないから連絡をしてきた。
着信をそのまま切ると、メッセージがたくさん入っていた。
スマホってGPS機能使えるんだっけ。
あの有嶋のことだからGPSを駆使してでも私を見つけ出しそう。
今日こそは簡単に見つかりたくはない。
再び鳴り始める着信を無視して、電源を落とした。
