星華学園までは家の最寄り駅から電車で20分程。
高校の最寄り駅は、同じ制服の生徒で溢れかえっていた。
「わぁ、すごい……」
そんな光景を見るのは初めてでテンションが上がる。
今までなら、学校の前をこんなに人がぞろぞろと歩いていることなんてなくて、玄関先まで高級車が並んでいるのが普通だった。
これこそ普通の生活。
「まじでお嬢様なんだな」
「え?なんか言った?」
「いえ、なんでもありません」
真横でボソッと呟いた有嶋の声は、周りの生徒たちの声に負けて聞こえなかった。
2、3年生は今日が新学期の始業式。
そして、私たち1年生は入学式。
まだシワのない制服を来て、保護者と一緒に歩いているのはきっと私と同じ1年生だ。
私の親は、今日は来ない。
顔の知られている親がこんなところに来たら即バレてしまう。
来ないからといって寂しさもないし、それよりも新生活へのワクワクが大きかった。



