学校には行きたくはなかった。



「菓乃お嬢様?変装はしなくてもよろしいのですか?」



朝、部屋まで迎えに来た有嶋が私の姿を見て聞いてきた。



「別にいい」



今までやってきたことは全て水の泡。



大河によってバラされて、周りの目は変わったし、自業自得だけれど美菜子とは気まずい関係になってしまった。



学校を休みたい。



それでも私は休むわけにはいかない。



学校をサボったことがお父さんにバレたら、せっかく手に入れた少しの自由を奪われてしまう。



また居心地の悪いお嬢様学校に連れ戻されるだろう。



「行くよ、有嶋」



何やら言いたげに立っていた有嶋にそう告げ、背中を向けて歩き出す。



「わかりました」



有嶋はそれ以外何も言わず後ろを着いてきて、そっとしておいてくれた。



学校までの足取りはとても重い。



いつもの道のりが長く感じた。