一途な執事と甘いティータイム




「いってきまーす」



執事服を脱いで制服姿の有嶋は、普通にどこにでもいる高校生。



家を出ると尚更そう感じた。



本当なら、一人で登校したいところだけれど、必ず有嶋と一緒に行くことというお父さんの命令だけは取り消すことができなかった。



私の少し後ろを有嶋が歩く。



「ねぇ、後ろにつかれるとストーカーされてるみたいですごく嫌なんだけど……」



「本当にワガママなお嬢様ですね」



「外で呼ばないで」



「誰もいないから大丈夫ですよ」



歩幅を合わせながら隣を歩く有嶋。



一応先輩に当たる有島だけど、あくまでも主人と執事の関係の私たち。



家ではそうでも無いけれど、こうして外で有嶋に敬語を使われると違和感でしかなかった。