一途な執事と甘いティータイム




「やっぱりダメかな……?」



「バレたくないのであれば、それはダメですね」



もう変装は諦めようか……



いや、万が一私のことがバレて騒がれるのは絶対に嫌。



「私にお任せ下さい」



「え?…ちょっ」



私に有無を言わせず、くるりと回され、椅子へと座らされる。



カバンから何やらいろいろと取り出して、私の髪をいじっていく。



その手際がとても良くて、バサッとおろされていたストレートの髪の毛もみるみるうちにまとめられていく。



「完成です、お嬢様」



そう手鏡を渡され、自分を写してみると、三つ編みの髪に黒縁メガネというよくありがちな地味子スタイル。



「ねぇ、さすがにやりすぎじゃない?」



こんな格好してたら、友達もできないかもしれない。



「菓乃お嬢様が桜宮グループの令嬢だとバレても良いのなら今すぐお解きしますが?」



「わかったわよ……」



そう脅されてはかなわない。



友達は頑張ったらできるかもしれないし、バレてしまう方が恐ろしく、仕方なくこの姿で登校することにした。